謗法写真偽造・違法報道と認めながら
判例まで無視して学会勝たせる異常
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新年そうそう、「日顕宗全面敗訴」などという見出しが踊る『改革時報』などを、そこかしこにバラ撒(ま)き、自らの愚を宣伝して廻る学会員の、何と多いことか――。
ここに本紙は、その原因である不当判決の内容につき、再度、厳正な批評を加えておきたい。
謀略だらけの「偽造写真」事件
日顕上人への名誉毀損は認定!
本紙がたびたび報じてきたように、この裁判の最大の争点は、問題の『創価新報』に掲載された写真が「偽造」されたものであるか、ならびに、写真を含めた記事全体が名誉毀損にあたるかどうか、ということである。
裁判所が下した判断について語る前に、まずは事件の概要を確認しておきたい。 昭和六十一年十一月、日顕上人猊下は、椎名法宣尊師および阿部法胤尊師(両師とも故人)の古稀記念の宴席に、夫人同伴で招待された。その際、スナップ写真の撮影を担当したのは、後に脱落僧となる椎名法昭であった。
今回の学会問題発生後、宗門から脱落した椎名法昭は、平成四年十月、前述の宴席で撮った日顕上人の写真を学会に渡す。
その写真は、副会長・野崎勲の指示を受けた特別企画室部長・木村芳孝によって『新報』に掲載されたが、その際、日顕上人を貶(おとし)めるために、壁≠描き加えて、写真に写っていた他の出席者の姿を消したり、撮影日時が特定されることを防ぐために、背景≠描き変えたり、やはり出席者の姿を消すため、写真を大幅にカットする等々の偽造・変造が加えられた。
そのようにして、日顕上人がひとり密室で芸者遊び≠しているように造り上げた写真に、木村らは、「日顕(上人)が欲すは『カネ、酒、色』の堕落道」「えっ、これじゃ『日顕堕落宗』?」「退座の後はここにキマリ 猊座がなくても芸座≠ェあるサ」などの見出しを付け、さらに、「法主がこんな下劣な男であるから、取り巻きの役僧も末寺の僧侶も放蕩(ほうとう)・好色爺(じじい)ばかり」「ああ、希代の遊蕩坊主・日顕(上人)。そして、好色教団・日顕宗」「日顕芸下≠ヘ、今日も遊行≠ヨと、いそいそ御出仕」などの文章を加えて、これを、ありもしない「遊蕩と邪淫」の現場写真に仕立て上げ、『創価新報』平成四年十一月四日号・十八日号に掲載。日顕上人の名誉を毀損した上で、日蓮正宗ならびに大石寺の名誉をも毀損したのである。
また学会の実質的責任者たる池田大作は、平成四年十一月十四日、「第十五回SGI総会・第四回埼玉総会」の席上、満場の会員を前に、問題の『創価新報』が発行されることを予告し、学会の違法行為を制止せずに黙認したのであった。
ところで、学会によって偽造・変造された写真は、やはり、木村らの思惑どおり、その撮影日時や場所・状況を特定することが困難なものであった。
しかし、写真は偽造の痕(あと)がハッキリと残るものであったため、本紙および本紙の前身の『妙観』紙が偽造疑惑を徹底追及。これにネを上げた学会側が撮影日時を明かし、ついに、偽造のタネにされた写真が判明したのである。
不可解極まる高裁・不当判決
月刊ペンの判例と正反対の異常!
写真を偽造してまで行なわれた、学会の悪質極まる謀略行為――。この違法行為を徹底糾弾するため、日蓮正宗ならびに大石寺が、謝罪広告の掲載と損害賠償を求めて東京地裁に民事訴訟を起こしたのは、平成五年五月一日のことであった。
これらの事実関係に対し、東京地裁はもちろんのこと、控訴審の東京高裁(鬼頭季郎裁判長)も、
「本件写真は、右撮影当時、他に二人の僧侶がいたにもかかわらず、これらを註記するようなことはないのであるから、右写真を見た者に対し、阿部日顕(上人)一人が酒席で芸者遊びをしているとの、実際の情況とは異なった印象を抱かせるのに十分であり、これをもって客観的な報道ということはできず、修正の限度を超えているものというべき」
として、写真は「偽造」されたものと明確に認定。
さらに、
「(『創価新報』の記事は)控訴人ら(創価学会ならびに池田大作)が主張するような、日蓮正宗の宗教上の教義に関わる問題や、阿部日顕(上人)の宗教的聖性についての論争、さらには、正当な言論や評論の域を超え、単に阿部日顕(上人)を揶揄(やゆ)し、誹謗、中傷するものとして、違法性を有するものというべき」
と、日顕上人に対する名誉毀損も、これまた明確に認定したのである。
このように、事件を大筋で認めながら、しかし鬼頭裁判長は、
「本件記事は、阿部日顕(上人)個人に向けられたものであり、これが同人に対する名誉毀損を構成する余地があるとしても、これをもって直ちに、被控訴人両名(日蓮正宗ならびに大石寺)に対する不法行為に該当するということはできない」
として、昨年十二月五日、宗門側の請求の全てを棄却するという、不当極まる判決を下してしまった。これが、これまでの経緯である。
ところが、過去、この問題と非常に類似した裁判において、東京高裁は全く正反対の判決を下していた!
それは、いわゆる『月刊ペン』裁判の控訴審において、創価学会から名誉毀損で訴えられていた被告・隈部大蔵氏(月刊ペン編集長)が、
「池田大作ら個人間の性生活の摘示は、同人らが単に学会の会長、または婦人部幹部という地位にあるだけのことであって、他に教義教説などの宗教的関連性がなく、公共性も欠き、全く別人である宗教法人創価学会そのものの名誉に対し、何らこれを侵害するものでないから、当然、学会に対する名誉毀損の成立する余地はないことになる」
と主張したことに対し、昭和五十四年十二月十二日、東京高裁は、
「『四重五重の大罪犯す創価学会』『極悪の大罪犯す創価学会の実相』との各見出しのもとに、その例示として、創価学会会長池田大作、同会婦人部幹部多田時子、同渡部通子らに関する不倫な男女関係の醜聞である現判示各掲載記事を具体的に摘示して、それが同会会長、幹部らを中核として組織された創価学会に対する名誉毀損に該当するとしているものであることは、原判決の認定、説示するところに照らして明らかであり、判決の『罪となるべき事実』の摘示としては、必要にして十分」
だとする判決を下した。つまり、創価学会幹部である池田大作らに対する名誉毀損は、創価学会に対する名誉毀損にあたる、と判断したのである。
ところが今回、鬼頭裁判長は、日顕上人が日蓮正宗ならびに大石寺の代表役員を務めている事実を認定しながら、
「(この名誉毀損行為が)直ちに、被控訴人らに対して向けられた非難、中傷であると認めることはできない」 と、『月刊ペン』裁判の控訴審判決とは、正反対の結論を導き出してしまったのだ。
そもそも、
「日蓮正宗の宗教上の教義に関わる問題や、阿部日顕(上人)の宗教的聖性についての論争、さらには、正当な言論や評論の域を超え、単に阿部日顕(上人)を揶揄(やゆ)し、誹謗、中傷するものとして、違法性を有する」
とまで認定しておきながら、鬼頭裁判長はなぜ、その日顕上人を「法主」と仰ぎ「管長」と仰ぐ日蓮正宗ならびに大石寺の名誉が著しく毀損されている、という事実を認めようとしないのか――。
これ以上の、不可解かつ一般社会の常識に反する判決はない。また『月刊ペン』裁判の判決と比べてみると、同種の事案につき、片や、創価学会の場合は組織に対する名誉毀損を認めながら、他方、宗門の場合には組織に対する名誉毀損を否定するという、相手によってご都合主義的な使い分けがされていることになる。
「偽造写真」裁判は今後、最高裁に舞台を移して争われる。
最高裁が、今回のような非常識な高裁判決を是正し、首尾一貫した姿勢を堅持されることを切望する。
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